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灰の梟亭のあるじエルナは、剣が持てません。
できるのは、依頼を貼り、誰を出すか決め、送り出すこと。それだけです。
送り出したあとは、もう何もできません。
道の先で引き返すか押し通るかを決めるのは、あなたではなく、連れて行かれた冒険者たちの癖です。
無鉄砲な者は、止められても進みます。
臆病な者は袖を引きますが、声が小さいので、たいてい押し切られます。
世話焼きは仲間の傷に布を当て、強欲な者は片がつく前から足元を漁り始めます。
帰ってきた者の報告には、誰が何と言い、誰が押し切ったかが書いてあります。
それは、あなたが組んだ面子の答え合わせです。
そして時々、名簿に線を引くことになります。
死んだ者は戻りません。次に誰を送るかを、また決めるだけです。
三十年前に灰になった街と、帰らなかった先代の話。全三十章。
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What's New in エルナのギルド
1.4
October 1, 2026
・第六十章の先に、第三部「余白の頁」を加えました。綴じた頁が風に散り、頁の落ちた町では名が薄れていきます。章はもう終わりません。 ・二人以上で帰ってきた夜、梟亭で仲間どうしが言葉を交わすことがあります。絆が深まる夜も、わだかまりが残る夜もあります。 ・帰らなかった者の墓碑を一枚の絵札にして、送れるようにしました。最期の合議も刻まれます。 ・図鑑に、第二部で出会う人と相手を加えました。
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